朝鮮時代の貴族階級である両班(ヤンバン)階層がよく食べていた料理を通称「班家(バンガ)料理」と言う。
班家料理は、宮廷料理とほぼ似ており、宮中の祝宴や婚礼の際にヤンバン家に伝えられた料理が多く、地域や家門よって異なる多様な料理が存在する。
特に、旬の食材を使った料理が多く、五方色(黄・青・白・赤・黒の5つの色のこと)のゴミョン(料理の形や色を引き立たせ、味を加えるために料理の上に乗せたりかける装飾)で美しさを表現し、
味と趣が共存する料理である。朝鮮時代の宮廷料理とともに、現在の韓国大衆料理のルーツと基盤となっている料理である。
ソンピョンとは、うるち米の粉で作った湯種生地をこね、具材を入れて半月の形にし、蒸したお持ちです。旧暦8月の満月の日、韓国の名節の一つである秋夕(チュソク)には名節食として家ごとにソンピョンを作って食べます。
ソンピョン

ソンピョンの材料は今年収穫した稲を使用します。また、ソンピョンに入れる具材も今年収穫した緑豆や栗、ごま、枝豆などを入れて作ります。
ソンピョンの生地にはかぼちゃやよもぎ、五味子(オミジャ)、クチナシ、なつめなどを入れて様々な色のソンピョンを作ります。ソンピョンは蒸し器に松の葉を敷いて蒸すので、香ばしい松の香りが感じられ、お餅が互いにくっつかないようになります。
ソウルの班家では、ソンピョンを一口に食べられるように小さく作ります。
うるち米の粉をよくこね、緑豆の具を入れて蒸すと、もっちりとした食感と緑豆の香ばしい味に松の葉の香りが出会い、口の中で楽しさを満喫できます。
秋夕の前日、家族が集まってソンピョンをきれいに作り、秋夕当日の朝、先祖へのお供え膳にソンピョンを載せます。
先祖に感謝の気持ちを込めてチャレ(祭祀)を行い、家族や親戚、隣人と分けて食べます。
材料

※ T=ティースプーン(Teaspoon)の略
A:うるち米の粉200g、塩2g、沸騰した砂糖水3~4T
B:うるち米の粉200g、かぼちゃ40g、塩2g、沸騰した砂糖水3~4T
C:うるち米の粉200g、茹でたよもぎ20g、塩2g、沸騰した砂糖水3~4T
D:緑豆100g、塩 1/4t、はちみつ1T
E:水180g、砂糖30g
F:ごま油10g、松の葉40g
作り方
うるち米はきれいに洗い、5時間以上水に浸した後、綺麗に潰してうるち米の粉を作る。
緑豆は5時間以上水にふやかして皮を取り除く。蒸し器で40分以上蒸し、塩(1/4t)を入れて緑豆をつついた後、粗目のふるいにかける。
作り方2の緑豆の粉にハチミツを入れて練った後、2g程度をひとまとまりにして具を作る。
水180gと砂糖30gを鍋に入れて火をかけ、砂糖水を作る。


うるち米の粉200gに塩2g、沸騰した砂糖水を入れて練った後、15g程度をひとまとまりにして丸く作る。真ん中に溝を掘って緑豆の具を入れ、半月形に白いソンピョンを作る。
かぼちゃは蒸してうるち米の粉200gに入れ、塩と沸騰した砂糖水を入れて、作り方5の方法通り、黄色のソンピョンを作る。
茹でたよもぎは細かく刻んでうるち米の粉200gに入れ、塩と沸騰した砂糖水を入れて作り方5の方法通り、緑色のソンピョンを作る。

蒸し器に綿布を敷き、松の葉をまんべんなく敷く。その上に作り方5、6、7のソンピョンを入れて20分間蒸す。

蒸したソンピョンは冷たい水で洗いながら松の葉を取り、ごま油を塗る。

