朝鮮時代の貴族階級である両班(ヤンバン)階層がよく食べていた料理を通称「 班家(バンガ)料理 」と言う。
班家料理は、宮廷料理とほぼ似ており、宮中の祝宴や婚礼の際にヤンバン家に伝えられた料理が多く、地域や家門よって異なる多様な料理が存在する。
特に、旬の食材を使った料理が多く、五方色(黄・青・白・赤・黒の5つの色のこと)のゴミョン(料理の形や色を引き立たせ、味を加えるために料理の上に乗せたりかける装飾)で美しさを表現し、味と趣が共存する料理である。
朝鮮時代の宮廷料理とともに、現在の韓国大衆料理のルーツと基盤となっている料理である。
荏子水湯は、鶏肉の出汁にごまを入れ細かくすりおろして、香ばしい味が楽しめる夏のスタミナ料理であり珍しい食べ物です。
荏子水湯を食べるというのは、暑い夏、たくさん汗をかき、たくさん熱を排出して疲れている人々が熱い性質を持っている鶏を食べることで、胃腸を保護しエネルギーを補充して暑さに勝つという栄養補給(補身)の意味がある同時に、体の調和をもたらすという意味があります。
荏子は「ごま」を意味する言葉で、宮中や両班家柄では冷製スープの代わりに鶏のスープにごまをすりおろして香ばしい味を出し、夏キュウリなどの野菜を入れて栄養補給とともに材料を彩りよく盛り込み、味と趣が調和する料理です。
荏子水湯を作るために、水から鶏肉を入れてじっくり煮込んだ後、鶏肉を取り出して骨を抜きます。香ばしい味を加えるために、鶏肉の出汁に炒りごまと松の実を入れて細かくすりおろして作ったごまスープを冷やして準備します。
そして鶏肉ときゅうり、梨、しいたけ、薄焼き卵を器に盛り付け、真ん中に牛肉団子を乗せ、冷やしたごまスープを注いで食べる冷製スープの一つです。
鶏肉の淡白な味わいにごまの香ばしさと松の実の深い味わいが加え、夏バテで食欲不振になった時に食べやすい健康食としてとても良い料理で、夏のおもてなし料理としてお勧めです。
荏子水湯(イムジャスタン)

材料
- 鶏肉 800g
- 梨 1個
- きゅうり 1本
- 水でふやかしたシイタケ 2個
- 牛ひき肉 50g
- 豆腐 20g
- 卵 2個
- 小麦粉 少々
- 油 少々
鶏肉の出汁
- 生姜 20g
- 長ねぎ 1本(50g)
- にんにく 4片
- 水 10カップ
ごまスープ
- ごま 1C
- 松の実 1/2C
- 鶏肉の出汁 5C
- 塩 少々
鶏肉の味付け
- 醤油 1/2t
- 刻みねぎ 1/2t
- 刻みにんにく 1/3t
- ゴマ粉 1/2t
- 生姜の絞り汁 1/2t
- ごま油 1/2t
- 胡椒 1/4t
牛肉の味付け
- 醤油 1t
- 砂糖 1/2t
- 刻みねぎ 1/2t
- 刻みにんにく 1/3t
- ゴマ粉 1/2t
- ごま油 1/2t
- 胡椒 少々
シイタケの味付け
- 醤油 1/3t
- ごま油 1/4t
- 胡椒 少々
豆腐の味付け
- ごま油 少々
- 胡椒 少々
- 塩 少々
作り方

鶏肉はお腹の中の内臓をしっかりと取り除いてきれいに洗う。鍋に鶏肉の出汁材料の水10カップと長ネギ、生姜、にんにくを入れて40分ほど煮込む。鶏肉は鍋からすくい上げ、汁は冷まして綿布で濾して澄んだ色の鶏肉の出汁を用意する。
ごまはきれいに洗い、少しふやかした後皮をむいて弱火で炒る。ミキサーに炒りごまと松の実、鶏肉の出汁を入れ、細かくすりおろしてごまスープを作る。そして、塩で味を調え、冷蔵庫に入れて冷やしておく。

鍋からすくい上げた鶏肉は骨と皮を取り除き、鶏肉の切り身を4cm×1.5cmの大きさで切たり裂いて鶏肉の味付け材料と混ぜる。
梨は皮をむいて4cm×1.5cmの大きさに切る。
きゅうりはきれいに洗って4cm長さに切り、回しながらむいて梨の大きさ(4cm×1.5cm)で切る。そして、軽く塩漬けにした後、固く絞ったきゅうりをフライパンで炒める。
水でふやかしたシイタケは、きゅうりと同じ大きさに切り、シイタケの味付けの材料を入れて味付けした後、プライパンで軽く炒める。
卵1個は黄身と白身の分けて薄焼き卵を作る。薄焼き卵をきゅうりと同じ大きさに切る。

牛ひき肉は、牛肉の味付け材料で味付けする。また、豆腐はつぶして水気を切り、味付けする。味付けした牛ひき肉と豆腐をよく混ぜ合わせ、丸く形を整える。そして、小麦粉をまぶした後、溶き卵に通し、油を敷いたフライパンに転がしながら焼いて牛肉団子を作る。
器に味付けした鶏肉と梨、きゅうり、シイタケ、薄焼き卵を丸く回しながら盛り付け、真ん中に牛肉団子をのせた後、冷蔵庫に入れておいたごまスープを注ぐ。


