【 絶対行きたい 】韓国ソウルの超おすすめ食堂、ボリスを紹介!

灰色のビルから体が抜け出た。朝よりずっと軽い足取りの人々がで道路を埋め尽くした。退勤は、新しい世界への出勤である。このまま家に帰るのは何か惜しい。どこへ行こうか?頭の中に、ぎっしりと食堂が描かれている小さな地図が広げられた。 シャツの第一ボタンを一つ外した。

これから、もう会社員ではないことを知らせる私だけの儀式である。お腹がすいたしお酒も飲みたい。だからといって派手なフランチャイズレストランや大型レストランは好みではない。そんなところより、裏通りの奥まったところ、小さい食堂だけどオーナーのプライドがこもったところ、お客さん一人一人に真心を込めるところを探す。

目を閉じて頭の中の地図を検索した。心が決まった。三成洞(サムソンドン)は、韓国で地価が最も高いところの一つである。今は地下鉄2号線だけだが、まもなくGTXという、都心型高速鉄道の駅ができる予定だ。それだけでなく、江南(カンナム)と蚕室(チャムシル)を結ぶところであり、貿易センターなど高いビルやホテル、都心空港など各種施設がぎっしり詰まっているところである。

その中でも三成洞のCOEXはG20首脳会議からカフェショーのような各種展示会や博覧会などが開かれる場所で、一度入ると道を迷ってしまう地下大型ショッピングモールのある複合センターである。そのおかげで地下鉄2号線三成駅に降りると、人々は100メートル走のようにいつも早足でせかせかと歩く。地下鉄の通路にはファンクラブがお金を集めて掲出したアイドルのお誕生日を祝う広告ポスターが勢いを誇るように次々と貼られている。

また、世界各国の少女たちが三成駅に聖地巡礼するように訪れ、広告の前で明るい笑顔で写真を撮る。あらゆるものが集まっているCOEXの向かい側には、大峙洞(テチドン)の丘が広がっている。COEXよりはもう少し落ち着いた雰囲気のその丘には、大小様々な企業の建物が集まっている。もう少し上に上がると、大峙洞の塾街が始まる。会社と塾街、その中間にはまるでダンテの「煉獄」が広がるようにうるさくも静かでもない曖昧な町がある。

食堂がぽつりぽつりと置かれていて、その間には人が住む共同住宅(ヴィラ)や小さな会社となった集合住宅がある。お昼になると鳥が集まるように近くの会社員が食堂に集まって席を取り、夕方になると辺りが暗い中でオアシスのように灯が明るくついているお店が客を集める。その食堂の一つが「ボリス」だ。

食堂にしてはかなり穏やかな名前のこの店は、韓国の全羅道(チョルラド)料理を専門とする食堂である。 最初はまあまあの定食屋だと思った。日替わり定食を安い値段で出して客を迎える食堂が大峙洞の周辺にはかなりたくさんあるからだ。

会社員の財布はいつものように厚くなく、早く食べて席を立たなければならない昼食に高い値段と長い時間を払うことができる人は多くない。主に夕食の商売をする焼肉店も昼食メニューを別に作って営業するのがこの町の食堂の生存戦略だ。

今日はどんなお店に行こうか、ぶらぶら歩きながら偶然入ったお店だった。すでにお店が人々で埋め尽くされている姿を見ると、失敗しないはずだった。席に座ると、従業員たちが動く勢いが普通ではなかった。

お互いに似ていて、楽に話していることから家族が運営しているように見えた。それなら更に良い。生半可なバイト生でいっぱいの食堂ほど客を苦しめるところはないからだ。毎日メニューが変わる定食にもタッポクムタン(鶏肉の炒め煮)が出された。

大きく太った鶏とぽんぽん切ったじゃがいを赤い唐辛子粉のタレに煮詰めたタッポクムタンは、別の一品メニューとしてお金をもらっても良い味だった。メニューを見ると、この店の商売の勢いが格別に感じられた。

テナガダコの料理がメニューを埋め尽くした。全羅道の光州(クァンジュ)広域市でユッケ(肉刺身)で食べられる牛肉を毎日出しているという。メニューに全羅道地方でよく食べるホンオ・サムハプ(ガンギエイの刺身・豚肉・キムチ包み)から金石魚(ファンソゴ)の煮付けまであるので、何か本格的だった。

というなら、別の日夕方にも訪れた方が賢明だろう。 夕方の大峙洞の通りには人が少なかった。丘の下にある三成洞の江南大路には車が渋滞して人が歩く速度より遅く走っていた。その複雑な雰囲気とは裏腹に、穏やかな気持ちになる大峙洞の丘で目につくのは、灯が明るくついている食堂、「ボリス」だった。

お店には高校の先輩たちが先に来て席を取っていた。お店は満席だった。ここまで人々が押し寄せることに改めて驚いた。人は良いところをすぐ見分ける。慣れた姿勢で楽に座った人たちは、すでに大笑いしながら思いっきり食べていた。

一行全員が集まるとすぐに料理が出てきた。先輩が選んだ最初のメニューは「ムンティギ(牛刺身)」だった。「センゴギ(生肉)」とも呼ばれるムンティギは、当日屠畜した牛の脂がない部位をお刺身のように薄く切った料理である。

毎朝、全羅道広州から直送したムンティギは、紫色が漂うほど新鮮だった。ムンティギを箸で持ち上げると超新星のようにミステリアスな光が出た。これを塩にごま油を混ぜてつぶしたニンニクを入れたソースと酢コチュジャン(唐辛子酢味噌)をつけて食べてみたが、内向的なムンティギの味に活力を吹き込むようだった。

脂っこさがなくてさっぱりしていて、食べても食べても飽きなかった。当日屠畜した牛肉は死後硬直がまだ解けず、むしろ食感が生きていた。薄く切って硬いことなく筋っぽくなかった。先輩はムンティギを食べている間ずっと笑みを隠せなかった。

「俺はムンティギが好きで、どこかで売っているというと直接行って食べてみるが、この店も結構良いね。」 先輩の褒め言葉のおかげでお酒の味がよくなった。一切れの肉を食べるたびにお酒一杯がついてきた。短い瞬間に一皿空けた。惜しかったが、夜は長くて食べ物は多いのだ。

空皿を片付けた後、ナクチ(テナガダ)料理が次々と出された。お店の前にある水槽でテナガダがお互いに足をくるくると巻いている姿が浮かんだ。最初の料理は「牛肉とテナガダコの和え物(ユッナクムチム)」だった。唐辛子粉、ニンニク、ネギ、ごま油、コチュジャンなどで味付けした牛肉と生テナガダコ(サンナクチ)の切り身、梨を混ぜて食べる料理だった。

普通のユッケと違って生テナガダコまで入れて海と陸地のすべての味を一度に楽しむことができた。特にネギとニンニクなどを入れて作った酢コチュジャンのタレはやや辛くてピリッとした辛味で、一歩間違えば味がバラバラになりやすい食材を一つにつなげてくれた。

甘くてザクザクとした食感の梨は香ばしい後味を残し、生テナガダコとユッケは噛めば噛むほどほのかなコクが上がってきた。よく地方出張に行くという先輩は、この料理を食べてまた目が丸くなった。

「タレが本当にうまい!今日、よく選んだ。」 優しくて人好きのする目つきをしたオーナーは、一ヶ所にずっと立たずせっせとテーブルの間を歩き回った。料理を出すタイミングをずっと見計らっているようだった。客が食べる速度を見てから次の料理を準備しているに違いなかった。

料理が出てくるのが遅くてつまみなしでお酒ばかりちびちび飲むことは、この店の中では無いはずだ。「牛肉とテナガダコの和え物」を食べ終わるやいなや、また次の料理が出てきた。「テナガダコ巻き(ナクチ・マリ)」という料理で、テナガダコを串に巻いて直火で焼き、唐辛子のタレを軽くつけた。

少し黒っぽい感じがするくらい焼き上げて口に入れると、アメリカのバーベキューを食べるようなスモーキーな香りがいっぱいになった。たまに歯ごたえのある赤い唐辛子は、その味をより複合的な味にした。一つの味の上にもう一つの味が乗せられ、単なるテナガダコ焼きではなく、それ以上の料理となった。

冷たい料理を食べた後に出てきた温かい料理なので、退屈さをあまり感じなかった。近所の食堂のように見える外観とは違って、オーナーがたくさん悩んでいることが分かった。だんだん椅子に座った姿勢から緊張が解けた。椅子の背もたれに持たれて口数が多くなり、その分笑いも頻繁になった。

指揮者の体の動きが大きくなり、空気を鳴らす打楽器の音が大きくなる交響曲の3楽章程度に達したようだった。その次の料理は「ガンギエイのサムハプ(ホンオ・サムハプ)」だった。全羅道地方から出るガンギエイガンギエイをアンモニアの匂いがするまで発酵させ、豚肉の茹でサムギョプサルと酸味のある熟成キムチ(ムグンジ)を一緒に出した。

3つを合わせて食べることから「サムハプ(三合)」と呼ばれるが、名前だけ取って別の組み合わせを作ることもある。主に全羅道地方で食べるガンギエイは、なかなか慣れにくい食べ物である。発酵させれば発酵させるほどアンモニア臭が強くなり、肉が柔らかくなる。全羅道地方のお祝い膳に必ず上がる食べ物でもある。

金大中元韓国大統領が特に好きだったガンギエイは、全羅道地域によって発酵の度合いが少しずつ違う。普通、海岸地域が発酵を少しさせ、内陸に上がるほど、より多く発酵させて味が強くなる。このお店は少し発酵させてアンモニア臭に負担感がない。虹色のガンギエイの身とサムギョプサル、熟成キムチを重ねて口に入れた。

ガンギエイのアンモニア臭と豚肉の脂っこさを熟成キムチが強く抱きしめた。豚肉の脂は味に量感を吹き込んだ。ガンギエイ特有の臭いはこの組み合わせを並外れた天才の現代美術のように奇怪な境地に導いた。おいしいとは言えないが、おいしくないとは言えないし、おそらく永遠に慣れないと思うが、また時間が過ぎていくと懐かしくなる味だった。

「また食べに来たい」 まだ食事が終わっていないのに、ある先輩は次の約束までする勢いだった。まもなくテナガダコの酢の物(ナクチ・チョムチム)が出た。沸騰したお湯で軽く茹でたテナガダコに切った玉ねぎとネギを入れ、酢コチュジャンで和えた。さわやかな酸味が口に広がり、疲れ果てていく感覚を取り戻した。

茹でたテナガダコは生で食べる時とは違って、ぷりぷりしていて柔らかくて食べやすかった。普通、このような料理は過度に味付けをして味を区分できない時が多いが、このお店はその適切な線を正確に守った。食事は終わりに向かっていた。オーナーは、だんだん食べる速度が遅くなっていく僕たちのテーブルをちらっと見て、しばらくして一杯のズッキーニチゲ(エホバクチゲ)とご飯をテーブルの上に置いて行った。

辛いスープと一緒に食事をするように配慮したのだ。ズッキーニを細かく切って豚肉を入れた後、唐辛子粉を適当に溶かしエビの塩辛で味付けしたズッキーニチゲは一口を口に入れるやいなや自ずと「きゃ~」と感嘆が出た。お腹がいっぱいになってきたが、ご飯を入れて食べるしかない味だった。

最後に出た料理は金石魚の煮付けだった。金石魚(ファソゴ)は、韓国語でファンガンダルとも呼ばれる小さな魚で、塩辛を漬けたり、普通焼いたり煮詰めて食べる。このお店の煮付けはタレを煮詰めてやや辛くし、ジャガイモや大根、ワラビを一緒に入れた。

普通、南道地方でこのような煮付けを作る時には、軽く干した魚を使う。魚を干すとさらにコクがあり、コリコリとした食感になる。干し黄石魚の濃い香りと暗い地で育ったワラビの香りが巧みに調和して今まで感じられなかった調和を成した。

大きな皿の上にたくさん乗せられた黄石魚を一つずつ手でつかんでむしって食べた。 港湾都市の釜山(プサン)で育った僕と先輩たちは、お皿を空にして残ったお酒を飲みながら故郷の話をした。その時代、家ごとに屋上で魚を日干しにし、キムチを漬ける時には魚の塩辛をいっぱい入れた。

今南海の海は遠くにあり、子供の頃の思い出も少しずつ薄れていく。古なじみに会うのも年に1~2回を超えることが難しくなった。懐かしさが深まり、年を取るのが少し悲しくなる時、夜遅くまで火をともして料理を出すお店に行く。敷居が高くて頭を下げなければならないところではなく、楽に寄りかかって座り笑えるところを探す。

人が人にひかれ、高い建物の影に隠れてお互いを見分けることができない場所ではなく、一途で見慣れた場所に行くことになる。そこに行けば良いだろう。ひとしきり食べてみると忘れるようになる。ひとしきり騒いでいると良くなるだろう。広く広がった枝の下で陰を作るその木に似たところ、その名前は「ボリス(アキグミ)」である。

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アクセス

ソウル特別市 江南区三成路82キル25

電話番号

(+82)02-564-7419

営業時間

月~土曜日
休日:日曜日
※予約可能

単品メニューを注文しても良いが、3人以上の人数ならコース料理もコスパが良い。ワイン持ち込み可能で、グラスも備えられている。お酒の種類は焼酎、ビールだけでシンプルな方だ。

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